親知らずの抜歯は小手術になります。よって、術後は生体からの反応性の炎症を認めます。代表的なものの説明をします。
1. 痛み
炎症反応として初めに出てくる症状です。抜歯後、麻酔が切れると程度の違いはありますが、すぐに感じるはずです。抜歯したその日が痛みのピークです。その後徐々に緩解し、長くとも1週間すればなくなります。
2. 腫れ
口が開かない、噛めないなどの機能障害を生じることもあります。
3. 皮下出血
表面の出血は止まっても、皮下で少しずつ出血が続く場合があります。年配の方に多い症状です。この場合、顎下部に内出血斑ができます。特に問題はありませんが、見た目が気になる状態が1週間ほど続きます。抜歯後の症状は小手術の侵襲によりますが、おおむね2,3日、長くても1週間もすれば、緩解するのがほとんどです。ただ、たまにそうならない場合があります。 主な原因となる2例を説明します。
A. 術後感染
抜歯をした後の傷口に細菌が感染した場合に起こります。抜歯後5日~1週間したころに痛みや腫れなどの炎症症状がでます。予防するには術後の抗生剤服用です。また、口腔内を清潔に保ち、創部にばい菌が入らない環境を作ることです。それでも、もし、術後感染を認めたときはちょうど合った抗生剤を服用することで感染は消退します。
B. ドライソケット
抜歯跡の創傷治癒不全です。抜歯後1週間で起こる激しい痛みが特徴です。抜歯跡に血餅が溜まらず、骨が露出することによって、空気が動くだけでも、痛みを感じるようになります。予防するには何よりうがいをし過ぎないことです。私が抜歯後の注意として、初めに伝えるのが、「うがいをあまりしないこと」です。ドライソケットは治癒しづらく、痛みを伴うため、注意深く避けたい症状です。