こんにちは福岡市西区九大学研都市の昭和歯科医院・院長 木南意澄です。
歯は初めての1本を失うと加速度的に次の1本を失うまでの期間が短くなります。
なぜなら、歯1本あたりにかかる負担がどんどん大きくなるからです。
この状態を咬合崩壊といいます。
咬合崩壊に近くなると力のアンバランスより、歯1本単位の治療をきちんと行っても、歯の喪失の波を止めるのがこんなになります。
そこで必要になるのが咬合再構成治療です。
治療の流れ
初診
患者は50代女性で、主訴は右下の歯がぐらぐらで抜けそうということでした。
すでに奥歯16本中の5本失っています。
そろそろ本格的に治療しないとならないのはわかっていたけれど、後回しになっていたそうです。
これらをすべて行う咬合再構成を行いました。
① 10年以上前に治療し、2次むし歯や感染根管を認める失活歯の治療
古いかぶせ物と土台、根管に充填してある人工物を全て除去します。これにより、細菌が感染している部分をほとんど取り除くことができます。基本的な治療ですが、最も時間がかかる治療です。1つ1つをマイクロスコープを用いて精密に行いました。② 右下奥歯の病的移動を治すための部分矯正治療
右下第1大臼歯を20年以上前に抜歯しており、そのときに適切な欠損治療を行っていないので、周囲の歯が移動していました。今回主訴である右下第2小臼歯が悪くなった間接的な原因も歯列の不正にあると考えます。歯の傾斜、空隙を治すために部分矯正を行いました。右下第2小臼歯を抜歯後、第2大臼歯を後方に送り、前方の空隙は閉鎖しました。矯正治療の期間は7か月でした。③ 奥歯の支えを増やすためのインプラント治療
6本欠損になるため、理想的には6本のインプラントが必要です。咀嚼効率、年齢、咬合リスク、費用対効果などを加味して、4本のインプラントを入れる計画を立てました。右下第2小臼歯、第1大臼歯部には部分矯正が終了後、1次オペを行った。左下第1大臼歯部は骨幅が狭かったため、GBRによる骨造成を併用し、インプラント埋入を行った。インプラントによる奥歯の支持ができたため、他の歯を長期的に保てる可能性が大きく上がった。補綴前処置終了
④ 噛み合わせを適正にするためのかぶせ物治療
①~③の基礎治療が終了した後は最終的な噛み合わせを計画します。これを診断用ワックスアップといいます。基本治療の前にすることもありますが、私は全ての歯を扱い、状態がある程度わかってからします。診断用ワックスアップを行うことで、細かい噛み合わせをいくつも設定できます。
診断用ワックスアップをプロビジョナルレストレーションに変換します。要はワックスをプラスチックに替え、口の中で使えるようにします。これにより、最終的な噛み合わせ、見た目を確認できます。