痛みや腫れの原因を
解決するためには、
感染源を
除去する必要があります
一般的に言われている「親知らず」とは、歯科でいう第3大臼歯のことで、英語ではwisdom tooth、「智歯」と言われます。
親知らずは17~20歳の時期に生えてきますが、元々なかったり、あっても生えてこなかったりする頻度も高いのです。また、親知らずは80%以上の場合が生えてこない、もしくは途中までしか生えてきません。この特徴が様々な問題を引き起こす原因となります。
親知らずが引き起こす問題
親知らずの痛みの原因は、大きく分けて
「歯周病による痛み」「むし歯による痛み」
「傷による痛み」の3つがあります
親知らずは特異的な生え方により、通常の歯みがきでは汚れを取り切れない部分が出てきてしまいます。それが原因で細菌感染が起こり、歯周病やむし歯になり、痛みや腫れ、口臭などの原因となります。
抜歯をおすすめする5つのケース
01
周囲の歯肉が
腫れている場合
親知らずがきちんと生えないことにより、不潔域ができ、感染が起こります。周囲の歯肉が大きく腫れ、口が開かない、口が閉じないなどの症状も見られます。また、痛みを伴うことも多く、ときにかなり強い疼痛に悩まされます。
抗生剤の投与により、痛みや腫れなどの炎症は緩解しますが、不潔域が存在する限り、再発のリスクは継続します。
02
大きなむし歯に
なっている場合
大きなむし歯になっていても、対合歯があり、しっかりと機能している場合は、治療の対象です。しかし、親知らずはかなり奥にあるため、器具が入りにくく、精密な治療が困難になる場合があります。
大きなむし歯になるということは、傾斜していて、機能していないことが多いため、多くの場合は抜歯の適応となります。
03
第2大臼歯に
むし歯を誘発する場合
親知らずはいずれ抜歯するのであれば、多少むし歯になっても、抜けば同じです。しかし、第2大臼歯にむし歯ができるのは非常に問題です。
親知らずと第2大臼歯の間に隙間が存在すると、むし歯や歯周病を誘発します。ときに間に食べ物が詰まる症状もあります。側面からなるむし歯は予後が悪いので、早めに抜歯した方が安心です。
04
対合歯がなく、
機能していない場合
上顎の親知らずの場合によく当てはまります。
下顎の親知らずは埋伏しますが、上顎は転位して萌出します。しかし、噛む機能は果たしていません。
奥歯は噛む機能がないのであれば、歯としての存在意義がありません。この場合、感染を招くだけなので、抜歯をおすすめしています。
05
矯正治療に
悪影響が出る場合
矯正治療を行う場合、歯をきれいに並べるため、第2大臼歯を後方移動させる治療計画があります。その場合は、矯正治療を開始する前に親知らずを抜歯します。また、親知らずが埋伏していると、経年的に歯列を乱す可能性があり、時間と費用をかけて治療した歯列が悪くなるのはもったいないので、早期に親知らずを抜歯するようおすすめしています。
抜歯後気を付けること
抜歯後は、痛みや腫れなどの症状があります
一般的には、親知らずを抜歯する前、抜歯中、抜歯した後の中で、抜歯後の痛みが強いと言われています。できるだけ抜歯後を平穏に乗り切るために、注意してほしいことがあります。
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1麻酔が切れ、感覚がある程度、回復するまで気をつける
無意識に唇を噛んで、後で痛みが出る場合があるので要注意です。
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2うがいをあまりしない
抜歯した跡に血液が溜まり、固まって、傷が治っていきます。そこの血を吸い出してしまうと創傷治癒が悪くなり、ドライソケットの原因になります。
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3激しい運動や飲酒は避ける
血圧が上がると、創部から後出血する可能性があります。
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4指示された薬の服用を守る
術後感染を予防するために抗生剤の服用をすすめています。そのとき、痛くないかどうかは関係ありません。
動画で見る親知らずの抜歯
骨性埋伏親知らずの抜歯